知ってほしい健康を保つコツ 侮ってはいけない「歯磨きの重要性」
最近では、入院患者の方には歯磨きの重要性を指導する病院も増えてきています。毎日の歯磨きをしっかりして清潔な口腔環境を保つことは、健康維持や寿命にも大きく関わってきます。
私も毎日しっかり歯磨きをしています。それも歯科でしっかり歯磨きを学び実践しています。それはなぜかというと、歯の見た目だけでなく、健康を意識してのことです。
癌患者の方もしっかりとした歯磨きを心がけることで、余計な病気を未然に防ぎ、免疫力を最大限癌に集中することで、健康に大きく向かうことができます。
以前の記事では、癌患者の方が亡くなる要因の大半は、「癌ではなく感染症」とお伝えしました。
歯磨きも感染症に大きく関わってくる場合があります。できるだけ感染症や余計な病気は未然に防ぎましょう。
■ずさんな歯磨きだといったいどうなる?
歯磨きがいい加減な人には時に重大な病気を引き起こすことがわかっています。
歯磨きがずさんだと、「歯周病」を引き起こすことが知られています。
しかし「歯周病の危険性」について理解している人は少ないような印象を私は受けています。
■歯周病とは
歯周病とは、磨き残した歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉つまり歯ぐきが炎症を起こします。
そうなると次に歯を支えている歯ぐきの中の骨を溶かしていきます。
そうなると歯がグラグラしてきて、やがて歯が抜けます。
■歯周病は治らない
恐ろしいのは一度歯周病になった歯ぐきは二度と治りません。
歯周病にも進行度合いがあり、進行を止めることは歯磨きなどの口腔ケアによって可能です。ですからまず自分が歯周病があるのかどうか歯科医に見てもらう必要があります。
また高齢になって歯が抜ける最大の要因は虫歯よりも歯周病です。
歳を取ってきたり、たばこを吸っていて歯磨きがいいかげんな人には、歯が長くなって見えることがあります。40代の人でも、場合によっては30代の人でも歯周病によって歯が長く見える人が時々います。
特に下の歯が細長くなったな-という人は、歯周病の可能性が高いです。
それは歯ぐき内の骨が溶けて歯ぐきが下がるので、歯が長く見えるのです。
糖尿の方も歯周病になりやすいという報告もあります。糖尿病をお持ちの方もくれぐれも歯磨きはしっかり行ってください。
歯石も同様に菌の塊のようなものです。
歯石も歯科医にしっかり落としてもらいましょう。
しかし、歯周病の問題は歯だけではありません。
歯周病のその先にある大きな病気が問題です。
■歯周病が引き起こす大きな病気
歯周病原因菌の刺激によって血管が硬くなる動脈硬化を引き起こし易くなります。
歯周病菌によって出てくる脂肪性沈着物が血管をふさいでいきます。
それによって狭心症や心筋梗塞を起こしやすくなることが最近の研究ではわかってきました。
誤嚥性肺炎
ずさんな歯磨きや歯周病だと口の中が非常に不衛生な状態です。
それが常に口の中に残っています。
高齢者などは食事の時や唾を飲み込む時に誤って肺に少し入ってしまう時があります。
それを誤嚥(ごえん)といいます。
若くても時々それでむせてしまうこともありますよね。
飲み込む時に使う筋肉が高齢者だと衰えていて、誤嚥してむせたりする反射が高齢者は鈍くて気づきにくい場合もあります。
高齢で誤嚥をしたときにそれが原因で肺炎を起こすことがあります。
それを「誤嚥性肺炎」といいます。
しかも誤嚥性肺炎は歯周病の人には高いリスクがあります。
歯周病があるとお口の中は不衛生です。非常に注意が必要です。
肺炎は70歳以上に多い病気です。
実にその肺炎患者の7割が誤嚥が原因によるのです。
ちまたでは肺炎球菌ワクチン接種が叫ばれていますが、それも大事なことですが、歯磨きの方がもっと重要です。
癌に罹っている人も特にしっかり歯磨きをしてください。可能なら歯石もしっかり歯医者で落としてください。
抗がん剤や放射線治療をして免疫力が下がっているような人は特に肺炎などにも注意が必要です。
冬はインフルエンザや食中毒もあります。肺炎対策のためにも手洗い、歯磨きをしっかりとしましょう。