がん患者の方のなかには、抗がん剤や放射線治療の副作用の影響で食欲不審になることがよくあります。
その場合の食事はどうのようにすればよいのでしょうか。患者を見守る家族として心配ですよね。
今日はがん患者さんが食欲不振の場合のコツなどを完結にまとめてみたいと思います。
がん患者さんが食欲不振の時の食事
がん患者さんは食欲不振になる場合があります。それは抗がん剤や放射線治療の副作用だったり、精神的な問題だったりと人によりいろいろあります。
がん患者の家族としては、元気がない姿を見るのはとても辛いものです。
なんとか食べてくれないかなと思い、あれはどうか、これはどうといろいろと買ってきたり、本人に勧めてみたりします。
ただ本人は吐き気があったり、だるさがあったり、時には精神的な不安や失望感などが原因で食欲不振になることがあります。
そんな時にどうっいった形で食事を勧めていけばいいのでしょうか。ここで病院などで勧められている食事のコツや私個人の意見などをまとめてみましたのでチェックしてみましょう。
国立がんセンターでは以下のような食事を奨めています。国立がん研究センター
- バランスの良い食事
- ゆっくり時間をかけて食べる
- 間食も上手にとる
- 消化の良いものを食べる
- エネルギー、タンパク質をとる
- 料理のレパートリーを増やす
- ストック料理
- お酒は控える
- 家族の協力
こうやってみるとありきたりの内容ですが、たしかにこれで良いともいえます。
ただ個人的にはお米やパンを推奨しているところは多いに疑問ですが、普通にウォーキングをしたり、掃除や外へ出かけられるような活動量の人であれば、それも全く問題はなさそうな内容となっています。
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米国の農務省やハーバード公衆衛生大学院のHealthy Eathing Plateでは白米ではなく、精製されていない全粒粉穀物が推奨されています。米文化ではないというのも理由にはありますが、日本では全く触れられず、医者でもこれらの情報すら知らない人もいると思います。
また個人的な意見ではありますが、以下の点も参考にしていただけたらと思います。
あくまで次の情報はポイントであって、食事方法の全てではありません。基本はバランスの良い食事です。あくまで個人的見解ですので、参考程度でお願いいたします。
ポイント1:本人が食べたいものを食べる
本人に食べる意思があり、食べたいものがあるのなら、それを食べさせるのも一つです。
ただ甘い物となると、癌にも影響しかねないので私個人としてはお勧めしません。ただ本人が食べたいものがあるのであれば、分かったうえでのことならOKではないでしょうか。気力や生活の質を落とさないためです。
ポイント2:消化の良いものを食べる
当たり前ですが、なるべく胃腸に負担がかからない消化の良いものを食べるようにしましょう。
ポイント3:魚や鶏肉からタンパク質をとる
がん患者さんは本来であれば、タンパク質、不飽和脂肪酸の脂質、食物繊維、ビタミン類、ミネラルをふんだんに摂り入れることが必要です。
ただどうしても治療の影響が出ると、食べる気力が失せてしまうことがあります。少なくとも、タンパク質は摂ってほしい成分です。
タンパク質は免疫細胞や抗体などに必須のものです。これが不足するとアルブミンの量が減ってしまい、病気が悪化しやすくなってしまう可能性があります。
個人的には短期間であれば、少々味の濃いものでもいいと思います。あるいは酸味のあるものなども食欲が増しやすいのでおすすめです。
ポイント4:味覚障害があるのなら香りの強いものを
抗がん剤や放射線治療によって、味覚に障害で出ることがよくあります。その場合は香りの強いものを食べるようにすると比較的食べられます。
人によってはカレー風味のものや、柑橘系の香りのするものなどは味覚に影響しにくく食べやすいです。
可能であれば、免疫力にも必要となるタンパク質を食べるようにしましょう。大豆製品や鶏肉などが食べられると大変良いです。
ポイント5:サラダ油はやめてオリーブオイル主体に
がん患者の方は、治療や精神的な問題で痩せてしまう人が多いです。ある程度食べられう人は、サラダオイルよりもオリーブオイルに変えるようにおすすめします。
サラダ油は作られる際に、化学反応により作られます。抽出の時に、ヘキサンやペプタンという石油由来の物質をつかいます。
さらに、通常の圧搾抽出とは違い、製造過程でミネラル類が取り除かれます。栄養価的にもあまり良くないのです。人体に有害となり、高血圧、心臓病、アレルギーにまで影響するのではないかといわれうトランス脂肪酸が含まれますのでサラダ油はやめておきましょう。
オリーブオイルもピンからキリまでありますが、しっかりと低温圧搾法(コールドプレス)でしぼったそのままのオリーブオイルがおすすめです。オリーブオイルはサラダ油よりも、コレステロールが高くなりにくく、抗酸化作用もサラダ油よりも良いとされています。
ポイント6:間食ならナッツ類をよく噛んで食べるのがおすすめ
消化があまり良くはないのですが、ナッツ類はかなり健康的な食材です。特にくるみやアーモンド、カシューナッツなどが混ざったミックスナッツなどを毎日適量とりましょう。
FDA(米国食品医薬品局)はナッツ類の健康効果を認めています。それは1日57g以上のナッツ類を食べると、心血管リスクが低下するといわれているからです。
心血管リスクが低下するというのは、血圧にも影響していることを示唆し、インスリン抵抗性が改善します。
これは糖尿病患者の免疫力低下の例から考えると、ナッツ類は間接的にではありますが、インスリン抵抗性が下がるのであれば、免疫力にも関係してくるのではないかと個人的には考えています。
※ただあくまでがん予防の観点では有効の可能性ありということであり、がん細胞に有効というものではありません。
ポイント7:市販の野菜ジュースはリスクかもしれない
食事が摂れない場合、野菜ジュースで栄養をとろうとする人も多いと思います。がん患者の場合、野菜ジュースは糖質がたっぷりなのでリスクがるかもしれません。
何も食べられないのであれば、野菜ジュースを活用することはまだマシでしょうが、栄養的にも野菜ジュースは気休めにしかならない可能性があります。
すくなくとも、市販の野菜ジュースが健康に寄与するといったデータはありません。むしろ血糖をたかめ、野菜ジュースをよく飲む人には糖尿が多いというデータはありますので注意が必要です。
野菜ジュースを飲むであれば、手作りでミキサーよりも、コールドプレス式のジューサーを使えば、素材を比較的壊さないで摂ることができそうです。
ポイント8:せめてお菓子を食べるのなら、カカオ成分80%以上のチョコレートを
甘いものがどうしても食べたい人もいると思います。その場合はケーキやスナック菓子を食べるのは砂糖がたっぷりなのでおすすめしません。個人的には、どうせ食べるのならば、カカオ成分が多いチョコレートをおすすめします。
可能であれば、市販の製品でいうと、明治が販売している『チョコレート効果cacao95%』がおすすめです。ただこのチョコレートを初めて食べた人はあまりの苦さと渋さに驚きます。
私は慣れてしまって全く平気なのですが、美味しくないと感じるのなら食べないほうがマシという話になってしまいます。
そうなるくらいなら少しカカオ成分が低めの86%などが良いかもしれません。
ポリフェノールは抗酸化作用も高く、血圧をさげる働きも確認されています。カカオ成分72%くらいが食べやすいのですが、やはり砂糖が気になります。
ドリンクには豆乳なんかもとても相性がいいのでおすすめです。
まとめ
- がん患者が食欲不振の場合、香りや味の強いものが食べやすい。
- 食欲不振の場合は、食べたくないものまで食べないくてもいい(短期間)
- 可能な範囲でバランスの良い食事を。
- 油はオリーブオイル主体に。
- ナッツ類がおすすめ。
- 市販の野菜ジュースはリスクの可能性あり。
概ねざっくりとしてはいますが、食事は自分の体を作る基礎となる大事なものです。
がん患者さんは食事にすら大変なエネルギーを状況によっては費やすことにもなります。なるべく自分にとって栄養価を損ねないながらも、食べやすい方法を見つけ出して欲しいと切に願います。