子宮頸がんは女性特有のがんですが、原因に大きく関係しているウイルスがあります。ヒトパピローマウイルス(HPV)が主な子宮頸がんの原因とされています。
今日は子宮頸がんの原因とされているウイルスやウイルス以外に原因があるのか注目していみたいと思います。
子宮頸がんの原因にウイルス以外の可能性はあるのか?
子宮頸がんは膣から子宮へと通る道の部分である子宮頚部に発生するがんです。他の癌は比較的高齢者に増える傾向があるのですが、子宮頸がんは20代から30代の若年層にも発症が多いとされている特殊ながんです。
厚労省の調べでは、20代から30代や40代の女性に発生するがんの中で発症率が一番多いがんが子宮頸がんです。
子宮頸がんの患者数
子宮がん全体の罹患数が年間25,000人くらいとされており、子宮頸がんは10,900例という数字が出ています。罹患率は20代から40代がピークとなり、50歳以降の子宮頸がんの罹患率は横ばいです。(人口動態統計2014年参考)
グラフをご覧になるとわかるとおり、比較的若い世代に多く発症するのが子宮頸がんの特徴です。性交渉に活発な世代に子宮頸がんの罹患が多いことが予想されます。
子宮頸がんの原因
女性であれば子宮頸がんの原因はよくご存知と思います。冒頭でも述べたヒトパピローマウイルスが子宮頸がんの主な原因とされています。その理由に子宮頸がんに罹ってしまった人のおよそ9割の方がヒトパピローマウイルスを持っているのが理由です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は主に性交渉で感染します。このウイルスの感染は決して稀なものではなく、ごく一般的に感染が起こりうるものです。
このヒトパピローマウイルスは免疫力が高い人であれば、通常体内からは除去されます。ただ継続的な感染や何等かの要因で免疫力が低い状態の場合が続くと、子宮頸部の細胞が前がん状態となり、さらに放置しておくことで前がん状態の細胞がやがて子宮頸がんになることが示唆されています。
前がん状態とは端的にいうと、がんになる前の細胞を指していいます。子宮頸がんは『異形成』(いけいせい)という前がん状態をとおり子宮頸がんになるといわれています。
異形成とは
細胞を顕微鏡などで観察して判断する際の病理学の用語です。細胞が「現状ではがんとは言えないががんに進行する確率が高い状態(前がん病変)」や「悪性・良性の境界にある状態(境界悪性)」であることを指します。病変の程度により、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成に分類されます。
引用参考元:国立がんセンター
前がん状態には軽度から高度までのレベルがあります。前がんの状態レベルが中程度までは放置でも80%は正常細胞に戻る可能性が高いのですが、高度までいってしまうとそこから子宮頸がんに変化してしまう可能性が高くなるといわれています。
また喫煙も子宮頸がんのリスクに挙げられています。喫煙は血液を汚し免疫力も下げます。ヒトパピローマウイルスの感染と喫煙が重なれば子宮頸がんのリスクが上がることは容易に想像できます。
ですので喫煙は絶対に有害なのでしないように気をつけましょう。
子宮頸がん検診
細胞診検査
子宮頸がんの検診は、非常に簡単で子宮頚部に綿棒で細胞をこすりとって顕微鏡で診断する細胞診検査があります。やや大雑把な言い方で言えば、検査を受けた人のうち、100人に1人が要精密検査となります。(参考:国立がんセンター)
さらにその中から子宮頸がんと診断される人の数は6%から10%程度といわれています。つまり子宮頸がん検診を受けた人が1000人いたら6人から10人くらいが子宮頸がんと診断されるということです。
ただ検診で早期発見ができれば、子宮頸がんはそれほど怖いがんではありません。それだけに、子宮がん検診は定期的に受けることが非常に意義があることだといえます。
ヒトパピローマウイルス(HPV)検査
そしてもう一つは子宮頸がんの大きな原因とされているヒトパピローマウイルス(HPV)の検査です。このウイルスがあるかどうかが子宮頸がんの発症に大きな要因となります。
ヒトパピローマウイルスに感染したからといっても即座に子宮頸がんになるわけではありません。ポイントは持続的に感染し続けることが最もリスクが高いといわれています。
免疫力がしっかり機能していれば普通はウイルスを除去できます。ストレスや体質的に虚弱であったり、継続的な性交渉による感染などが多ければ、子宮頸がんの発症リスクは高まります。
- 子宮頸がんの検診は2年に1回は受けることが推奨されています。
子宮頸がんの症状
- 基本的には無症状
- 生理中以外での出血
- 性行為中の出血
- おりものの増加
- 月経血の増加
子宮頸がん通常無症状です。生理中でもないのに出血したり、性行為の最中に出血することがあります。その他におりものや月経血の量が増えたり長引いたりすることもあるようです。
出血がある場合は前がん状態、もしくはがん化してしまっている場合がありますので、早めの受診をしてください。不自然な出血は子宮の異変の大きなサインです。
参考:医師監修医療情報メディアmedicommi
子宮頸がんの原因にウイルス以外の可能性は?
現在、子宮頸がんの発生の元となるのは、ほぼヒトパピローマウイルス(HPV)で間違いないといわれています。ウイルス以外の可能性が現在のところ発見はされていません。
ウイルス以外に何かの遺伝子的要因や科学的要因がウイルスと関わって子宮頸がんになるといった可能性も無きにしもあらずですが、今のところそのような原因の可能性は報告はないようです。
ただウイルス以外に子宮頸がんに罹るリスクとしては、やはり免疫力の低下の影響がやはり大きいものと思います。ウイルスに感染していても免疫力が高ければ前がん状態の段階で正常細胞に戻すことができます。
とはいえ、どう考えてもヒトパピローマウイルスに感染しない為の対応が最も求められていることにあることは子宮頸がんに関しては間違いないことですね。
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まとめ
- 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)
- ウイルス感染は性交渉が原因
- 前がん状態中程度までの80%程度はがんに進展しない。
- 避妊具の使用と継続的な子宮頸がん検診が予防の鍵
- 免疫力が下がらないような規則正しい生活を心がける。
子宮頸がんの原因にはヒトパピローマウイルスが大きく関わっていることは間違いなさそうです。ウイルス以外の原因の可能性もまだ完全に否定はできまえんが、ウイルスに感染していない状態が長ければ長いほど子宮頸がんにはならないことがいわれています。
とにかく2年に1回の定期検査とウイルスに感染しない対応、そしてがん全般にいえる免疫力を下げないための規則正しい健康管理が必要です。