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がん治療はオーダーメイドの時代へ。ようやく次世代シーケンサーの導入が本格化。

最近では、がん治療の治療において、『オーダーメイド』というキーワードが盛んに叫ばれるようになってきています。

がん治療でオーダーメイドとは具体的にどのようなものなのでしょうか。今日はがん治療のオーダーメイドについて少し掘り下げてみてみたいと思います。

 

 がん治療のオーダーメイドとは?

がん治療のオーダーメイド化について、国立がん研究センター中央病院は来月からがん患者の遺伝子の情報を検査、解析し適切な先進医療を行えるようにするための『がんゲノム医療』というものを先進医療として、厚生労働省に申請をするという情報がありました。

日本よりもアメリカではこのゲノム医療はいち早く導入されています。がんゲノム医療とは、がん患者の臓器ではなく、遺伝子をより詳細に解析してその変異に応じた効果の高い抗がん剤を選択し治療するというものです。

このがんゲノム医療のメリットは、がん細胞に対してより高い効果が得られる抗がん剤の選択や、より副作用の少ない抗癌剤の選択を目的としているようです。私の知る限りでは、アメリカでは多種多様な癌に対する治療にも高い効果を発揮しているそうです。

これまでの抗癌剤治療は、ざっくりと言えば場当たり的に薬を使用していました。その薬がどの程度がん患者に効果をもたらすかはやってみないとわからないものでした。

もちろん遺伝子情報を解析したからといって効果が絶対あるかどうかは未知数ですが、少なくとも、より効果的な薬品を投与前からある程度選択することができるようになるということです。

日本でのゲノム医療の対象者は?

このゲノム医療の導入は、現時点ではあくまでがんの再発やがんの進行が進んでしまったことによって、標準治療を受けることが難しくなった患者が対象となるようです。オーダーメイド化を歓迎したい反面、この方針は残念極まりません。

おそらく、試験的な治療であることと、進行がんに対しての効果測定の意味あいが強いものと思われます。どうせやるなら、比較的ステージの低いがんに対しても標準治療を無視してやってほしいと思うのですが。

がんの進行の状態に限らずデータをとるべきと思うのですが、あくまで標準医療にこだわるところが残念です。とはいえ、ゲノム医療の効果がある程度わかればようやくそこから全国的に導入という形になるものと思われます。

少しでも早く良いものは普及をしてほしい限りです。

がんゲノム医療の費用は?

これまで日本でも一部の病院や自由診療の病院などがいち早く臨床してきましたが、ここにきてようやく国も動き始めたようです。このがんゲノム医療、つまりオーダーメイド治療ですが、検査費用が数十万円ほどかかるようです。

さすがに高額ですね。これでは検査を受けられる人が限られてしまい、検査の普及に繋がらないということで、国立がん研究センターは保険適用を目指して申請をするということです。

次世代シーケンサーの導入がようやく日本でも本格化か。

<次世代シーケンサー イルミナ社製>

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出典:https://jp.illumina.com

がんの遺伝子情報を解析する装置には次世代シーケンサーというものを活用します。これは、2000年代にアメリカで登場しました。これまで遺伝子解析をするシーケンサー自体はありました。

次世代シーケンサーは遺伝子の塩基配列を計算する速度が従来のシーケンサーと比べて段違いに早くなったものです。これの出現によって非常に短時間で遺伝子解析ができるようになりました。

従来型のシーケンサーでは、遺伝子の塩基配列を解析するのに10年以上もかかっていたものが、次世代シーケンサーでは数日で解析するほど高速になっています。

この次世代シーケンサーが、がん治療だけでなくあらゆる医療において大きな役割を今後担っていく可能性が高くなってきています。コンピューターの演算処理は日進月歩です。いずれ圧倒的に短時間で遺伝子解析ができる時代がもうすぐそこまで来ています。

アメリカは圧倒的に技術が進んでいる

アメリカはこの次世代シーケンサーと人工知能(AI)を組み合わせたテストを既に始めています。具体的にどういうことかというと、これは画期的ですよ。

患者の遺伝子情報をAIに伝えます。そしてAIはビッグデータと患者の遺伝子情報を照らし合わせ、最適な薬や治療法を提案します。

参考:IBM(英文)

www.ibm.com

つまりこれまで医師が薬や治療法を決めていましたが、アメリカがまだ試験的ではありますが、試しているのはIBM社のワトソンというAIが薬や治療法を決めるというものです。とあるリンパ腫の患者に対してこの方法を試したところ、非常に効果的な抗癌剤治療ができたというニュースを以前見た記憶があります。

試験的といってもアメリカでは規模が違います。ワシントン大学、ニューヨークゲノムセンター、その他の著名大学14箇所、そしていくつかの医療機関が連携してこのプロジェクトを推進しています。

アメリカでのAIを使ったゲノム医療の対象となる癌は以下のとおりです。

  • メラノーマ
  • 膵臓がん
  • 卵巣がん
  • 肺がん
  • 大腸がん
  • 乳がん
  • 脳腫瘍
  • 悪性リンパ腫

これらの癌の治療効果がどれほど高まったのかはまだわかりません。今後の情報を待ちたいと思いますが、従来型の治療よりは大幅に成績が良くなるのではと期待されます。

このやり方は、現在日本でも公益財団法人がん研究会とITベンチャーのFRONTEOヘルスケアとの共同研究において2017年より始まっています。それによると、乳がんと肺がんを対象として臨床を5年以内に開始するそうです。

参考:【からだのレシピ】ゲノム+AI=患者に最適ながん治療法 - 産経ニュース

5年以内、、、遅いですね。もっと早くならないものでしょうか。とはいえ、日本でもAIと次世代シーケンサーを本格的に活用する時代に入り始めたものと思われます。

既に次世代シーケンサーの知識のある日本の富裕層は、アメリカで遺伝子検査をしている人もいます。今後は、美容、アレルギー、がん治療などの分野で次世代シーケンサーが活用されていくとこでしょう。

まとめ

  • がん治療はオーダーメイドの時代にようやく入りはじめた。
  • がんゲノム医療は遺伝子解析をして治療法を選ぶ方法。
  • 遺伝子解析には次世代シーケンサーが活躍。
  • アメリカではAIに治療法を決めさせる方法を導入中。

 がん治療のオーダーメイド化、遺伝子解析、AIによる治療法の選択、これらの導入が一般化されるまでにはまだ時間がかかりそうです。とはいえ、医療は日々進化をしています。

ただ患者さんの中には時間がない方も多いのが現状です。1分1秒でも早い導入が求められます。ただ個人的には、がん治療に関してはどうしても『近赤外光線免疫治療法』に一番期待を寄せてしまいます。

 

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