がん患者の方の多くが、何らかの健康食品や食材で、がんに有効なものは無いのかと、何か決め手となる物を探している人は多いと思います。
しかしむやみに健康食品を選んだとしても、もし自分に合っていなければ効果はそれほど期待できませんし、場合によっては悪影響を及ぼす可能性もあります。
今日は本質を間違わないように、健康食品を飲む前に知っておくべきことについて考えてみたいと思います。
健康食品を選ぶ前に必要なこと。
あなたは健康食品を選ぶ時はどんな基準で選んでいますか?世間の人気ですか?評判ですか?あるいはテレビの健康番組でピックアップされていた有効そうな成分でしょうか?
がん患者の方でも病院の治療にプラスして、健康食品や、代替療法、民間療法などを摂り入れる人は患者の50%にのぼるといいます。
つまり癌患者の2人に1人は何かしらの健康に良さげと思われることをしているのです。健康食品に関してはどうでしょう。知り合いから強く勧められたからサプリメントを飲んでいるとか、ただ何もしないよりはマシと思ってサプリメントを飲んでいる、そんな人も多いでしょう。
しかし、どれだけ良さそうな成分のサプリメントでも、体質や栄養状態を把握しなければ意味はありません。健康食品には高額なものから粗悪なものまであり、予算的にも無駄になりかねません。
何にでも相性があり、必要か不必要かを知ることが寛容
例えば食品でいうと、この食品はオーガニックだから、即それは身体にいいと思ってしまうとすれば、かなり安直な発想といえます。
そこには間違いが潜んでいる可能性があります。というのは、健康食品は自分にフィットしない物や成分に対する正確な知識無くしては、どれだけ飲んでもあまり健康や、あるいは癌には期待できません。
やはりがん治療の効果を最大限活かそうと思った場合は、自分にとって何が足りないのか、何が足りているのかを知ることが先決です。
それを確認せずして、健康食品を選ぶことはあまり賢明とは言えないと思います。科学は常に進歩してきており、自分に何が必要なのかを調べることができる時代に入っています。
自分の体に必要な物を調べる技術がある。
がん患者はまず最初に、自分の病気について徹底的に調べることや、現代の治療法についても徹底的に調べることが必須です。それと同時に、まずは自分にはどんな栄養が足りていないのかを知る必要があります。
現代では遺伝子や血液検査などによって、自分に合わない食べ物や不足している栄養などを解析することが容易にできます。
癌患者の人は往々にして、治療やストレスの影響もあってか、または病院の栄養指導が不適切であったりと理由はいろいろありますが、全体的に適切な栄養が足りていない人が多いように思います。
がんと言ってもガン性悪液質(がんで痩せていく状態)やストレスや治療の影響で食が細くなっていない限り、理論上はがんの影響で痩せることはありません。しかしそれでも、がん患者の方で痩せてしまう人が多いのは、実は適切な栄養管理が出来ていない人が多いと私は考えます。
良質なタンパク質や食物繊維、各種ビタミン、ミネラルといった免疫力に関わる重要な栄養素を適切に食事で摂ることは、健康な人であっても案外難しいのです。
適切な栄養管理なくして、病気を治すことはできません。抗がん剤にしても手術にしても、体力や回復力なくして効果は上がりません。サプリメントにしても、あの人はこれで治ったから、自分にもそれが合うのかというと、必ずしもそうではないと思います。
それよりも、まずは自分の身体の栄養状態や食の状況をしっかり把握しましょう。それを調べる方法は、「栄養分析プログラム」という検査で可能になります。または、「分子栄養療法」「オーソモレキュラー」ともいいます。
栄養分析プログラムとは
栄養分析プログラムとは、分子栄養学に基いて解析する検査です。栄養分析プログラムでは血液検査によって、主に以下のことを調べることができます。(病院によってはプランは異なります。)
- 5大栄養素の過不足(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)
- 酸化ストレス
- 自律神経のバランス
- 炎症やアレルギー
- 鉄代謝(貧血)
わかりやすくまとめると以下の3つの把握ができます。
- 1)自分に必要な栄養成分
- 2)自分に適した食事
- 3)自分に適した栄養サプリメント
これは総合病院では特に積極的に行うところはあまりありません。小さいなクリニックやがん専門のクリニックなどで受けることができます。
まずは自分の栄養摂取状況を正確に知り、そしてそれに必要な食事や、自分に適したサプリメントを医師と相談してオーダメイドで決めていきます。これができて、はじめて自分の身体の状態を把握し栄養と体調の管理を科学的にすることができるのです。
おそらく、自分の栄養状態を正確に調べると大抵の人には、不足している栄養成分がいくつかはピックアップされるでしょう。というのは、普段私達が食べている野菜などの栄養成分は、昔の野菜と違ってビタミン、ミネラルなどが元々不足した野菜を食べていることも意外に影響しているといえます。
野菜の栄養価は昔よりも格段に下がっている
現代の野菜の栄養価は昔よりも低くなっている。このことは聞いたことのある人もいることと思います。書籍によくある例として挙がっているものとして、人参やほうれん草の栄養価があります。
それによると、現代のスーパーで売られている人参に含まれるビタミンAは、50年前のおよそ1/3~1/6ほど。ほうれん草に関しても、鉄分が50年前のほうれん草と比べて1/5~1/7まで下がっているといわれています。
ほうれん草のビタミンCに関しては文部科学省の『日本食品標準成分表』1982年版によると、ほうれん草100gあたりのビタミンC含有量は65mgに対して、現代では35mgとなっています。
現代人は野菜をそれなりに食べることができたとしても、ビタミン類をしっかり必要な分だけ補うことはなかなか難しいのです。仮に大量に野菜を食べたとしても、今度はカリウムやリンをその分だけ多く取りすぎてしまい弊害が出る場合があります。
もちろん人によっては吸収力にも差がありますし、食べ併せなどでも吸収に差がでますので難しいところです。まずは栄養分析をしっかりして、自分の栄養状態、食事の方法などを客観的に理解する必要があります。
医師にしっかり解析をしてもらって、そこで自分に足りないもの、必要なものを把握します。ですので闇雲に市販のサプリメントに手を出すのではなく、医師の元でサプリメントを用意してもらう方が、自分を形作るベースを築くような意味で、適切ではないでしょうか。
免疫力やがんに直接効果がありそうな健康食品にトライするのはその後で良いと私は思います。
栄養分析プログラムはどこで受けられるのか
栄養分析プログラムを受けるのであれば、ネットで「栄養分析プログラム」や「分子栄養療法」あるいは「オーソモレキュラー」や「サプリメント外来」などで検索すれば、対応している病院が簡単に出てきます。
- 栄養分析プログラム
- オーソモレキュラー
- 分子栄養療法
- サプリメント外来
基本的には、がん患者であれば、がんの治療を主体的にやっている病院で栄養分析をしてくれるところで検査を受けることをおすすめします。
その利点は、自分の血液の状態、栄養状態の把握と同時に、自分のがんについての意見を伺うことも可能です。家庭で血液や唾液を採取できるキットも販売されていますが、医師の診断を受けることはできませんので、宅配での検査キットは安価で手軽ではあるのですが、遠方で最寄りの検査期間が無い場合や、検査機関がしっかりしていない限りはおすすめしません。
家庭用のキットは検査制度に関しても、信頼性にかける部分があるので、あくまで参考程度のつもりでなら良いと思います。出来る限り栄養の解析は、説明をしてくれる病院で行うようにしてください。
栄養分析プログラムの費用は?
栄養分析プログラムの費用は大体2,3万円前後~となっていますが、プランによってまちまちです。サプリメントをオーダーメイドする場合は更に費用がかかります。保険が適応できないため高めではありますが、無意味に無駄なサプリメントに出費することを考えれば、決して高額ではないと思います。
まとめ
- 健康食品を選ぶ前に、自分の栄養状態を知る。
- がん患者の場合、特殊なサプリメントを探す前に、栄養管理が必要。
- 栄養状態を知るには「栄養分析プログラム」がおすすめ。
- 「オーソモレキュラー」「分子栄養療法」「サプリメント外来」とも言う。
健康食品を選ぶとするならば、まずは自分の栄養状態を知りましょう。大事なタンパク質、ビタミンやミネラルが不足しているのに、全く違うサプリメントでいくら頑張っても無駄になる可能性が高いです。
癌に期待できそうで、特殊な成分が入った高額な健康食品を摂り入れるとすれば、それは自分の状態を知った後の話です。まずは自分のポテンシャルを最大限に高めるために、病気の把握、治療の把握、そして自分の栄養状態の把握をしてください。