2017年も10月に入りました。
つい数ヶ月前、今年もいよいよ新しい年が始まったなと思っていたら、もう今年も残り3ヶ月を切りました。本当に月日の経つのは早いものです。だんだん気温が下がってきます。自律神経の乱れから体調を崩しやすい季節です。どうぞご自愛ください。
先日、NHKで放送された「NHKスペシャル人体 腎臓は寿命を決める」という特集を見ました。放送内容は、腎臓がどれだけ人体において重要な役割をしているのかということをベースに、腎臓が持つ様々な役割をわかりやすく放送していました。
この番組を見て、いろいろと考えさせられることがあったので、今日はブログでお伝えしたいと思います。
腎臓だけでなく全身の臓器は直接やり取りしている。
この番組では私も知らなかった臓器のネットワークについて、腎臓を中心に解説されていました。腎臓が悪いと全身の臓器に影響が出ることが、より正確に解ってきています。
腎臓は心臓、肺、膵臓、肝臓、胃腸など身体の臓器などに、脳を介すことなく特殊な信号を送ってやりとりしていることが解ってきました。
腎臓は単純に血液の濾過をするだけでなく、全身の血液の管理を一手に引き受けている重要な臓器です。一度悪くなると修復することがほぼ出来ない、非常に繊細な臓器です。
私も慢性腎不全の人を何人か知っていますが、腎臓が悪くなったことで特に心臓への影響が出てきています。腎不全になってしまうと、心臓の肥大化が進んだり、働きが低下したり、急激に高血圧になってしまうことがあります。
免疫力や細胞の修復に絶対に必要なタンパク質や塩分、水分、リン、カリウムなどをシビアに制限しなくてはなりません。タンパク質を取りすぎれば尿毒症になり、水分を取りすぎれば浮腫がおき、血圧があがります。
そしてリンを取りすぎれば血管がつまり、カリウムを取りすぎれば心臓が不整脈をおこしたり、最悪の場合心不全となります。
そして腎臓は血液に大きく関係しており、腎臓が悪くなると貧血を起こすこともあります。それは赤血球を増やすホルモンの「エリスロポエチン」を腎臓が生産できなくなってくるため、骨髄での赤血球生産が少なくなり、腎性貧血になってしまいます。
このように、腎臓からでる物質が血液や各臓器に影響を及ぼすのです。
多臓器不全の原因に腎臓が影響している。
多臓器不全という言葉があります。よく病気で人が亡くなる場合に、時折聞かれるこの言葉。
多臓器不全とは読んで時のごとく、複数の臓器の機能が低下してしまい、命が失われることを指していいますが、この原因に腎臓が深く関わっている可能性が示唆されています。
身体の重要な期間である臓器のどこかが悪くなると、結局は他の臓器にしわ寄せが来てやがては全身にダメージがでてしまうといった内容でした。
すべての多臓器不全の原因とまではいきませんが、少なくとも多臓器不全で亡くなる人の5人に1人が腎臓の影響で亡くなっている可能性があるそうです。
他の臓器の病気で入院したのに、腎臓のケアを怠ったがために命を失うこういったケースは、おそらくこれまで数え切れないほどあった可能性が出てきました。
これは単純に他の臓器に関してもおそらく同じことがいえます。どこかの臓器が悪くなると他の臓器にも、やはりしわ寄せがくるのです。
例えば、腎臓が悪くなれば貧血になり心臓に負担がかかり、心臓が悪くなれば、血圧などをコントロールするために腎臓に負担がかかり、血圧に異常があれば血管にも負担がかかるなど。
日本にも新しい医療体制が広がる予感
新しい医療体制として、海外での取り組みで広がってきておりに、日本でも京都大学などがいち早く取り入れているものがあります。それは、腎臓の管理や患者の腎臓に対する相談(コンサルト)をしっかり取り入れていく方針です。
腎臓をケアしていくことで、様々な疾患への影響を抑えていくことが狙いです。つまり、それだけ腎臓が悪いと心臓や他の病気に対しても影響がでるということです。
今後日本の総合病院ではこの腎臓の状態をチェックしていく方針が広がっていくかもしれません。
「NHKスペシャル腎臓は寿命を決めるを見て」は再放送がされますので、興味がお有りの方はぜひ御覧ください。
2017 09 21 体の中の世界 NHK SPECIAL 人体 30/09 夜9時
- 「NHKスペシャル人体 腎臓は寿命を決める」『再放送』
- 日時:2017年10月5日(木)午前1時00分~1時49分(4日深夜)
まとめ
- 腎臓に限らず、臓器はどれが悪くなっても全身に影響する。
- 入院患者は病気の種類に関わらず、腎臓をチェックしながら体調管理をする時代に入っている。
しかし、この番組を見て、海外と比べて、まだまだ日本の医療の遅れがあることを本当に痛感しました。がん治療においても治療方法や検査方法が海外(一部)と比べて非常に遅れています。
がんは未だ日本では手術、抗がん剤、放射線の標準医療ですが、もうそれは過去の産物となる可能性を感じる新しい治療法や検査がどんどん生まれています。がんの有効な最先端の治療、検査に関しては別の機会にお届けします。