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知っておきたい乳がん検診マンモグラフィー検査などの見落としについて

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乳がん検診といえば、いまやマンモグラフィー検査は女性であればだれでも知っていますね。

最近では小林麻央さんの件や、お笑い芸人のだいたひかるさん、歌手の麻倉未稀さんの乳がん治療などのニュースで乳がん検診の重要度が認識されています。

今日はマンモグラフィー検査をはじめとする乳がん検診の見落としについてのお話です。

 

 乳がん検診の見落とし率について

乳がんの検査といえば、基本的には3つあります。

  1. 触診検査
  2. エコー検査
  3. マンモグラフィー検査
触診

触診は言わずと知れた見た目、手で触った感覚などを中心に乳がんの有無を判定します。非常に一般的で認知もされているのでここでは割愛します。

 エコー検査

エコー検査は超音波検査です。エコーも非常に良い検査方法で小さめのしこりを発見することができます。

ただ弱点があり、検査する人の技量が相当必要ということです。

手技の悪い医者がやると見逃し率が高くなります。

超音波検査での見落とし率はおおよそ15%程度といわれています。

この見落とし率は医者の力量からくる見落としの数字です。

それゆえ、技量を必要としないマンモグラフィーがより主流となってきています。

つまりエコーとマンモグラフィーをセットで検査することで見逃し率が下がるということです。

 マンモグラフィー検査

近年、乳がんの検査ではマンモグラフィー検査が主流となっています。

マンモグラフィーは乳房専用の検査をおこなうレントゲン装置の一種です。

乳房を検査機で挟み込んで、微量の放射線を照射して乳がんがあるかどうかを確認する検査です。

マンモグラフィーのメリットはいままで発見することが難しかった数ミリ単位の乳がんを発見することができます。

マンモグラフィーでは癌は白く写りこみます。通常の脂肪などは黒く写ります。

ただ日本人の場合は、高濃度乳房といって、乳腺性質が濃い人がおおく、マンモグラフィーでは写り込みにくい人が多いのです。

高濃度乳房の例

画像の右2つの乳房が高濃度乳房です。真っ白に乳房が写っていますね。

こうなってしまうと、診断が難しくなってしまいます。

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出典:厚生労働省

日本人の場合、実に40歳以上の人の4割の人が高濃度乳房です。

特に30代~40代が高濃度乳房のピークのようです。

下の表の赤字で書かれた「高濃度乳房」の部分をご覧いただくと40代では5割を超えているようです。

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出典:厚生労働省

参考:厚生労働省 対策型乳がん検診における「高濃度乳房」問題の対応に関する報告書

そういった問題もあり、乳がんの見落とし率はマンモグラフィーの場合、2割~3割くらいは出てしまうそうです。

特に30歳代くらいまでの若い人は乳腺濃度が濃いのでがんを見落としやすいといいます。

乳腺MRI検査を受けると、より正確な乳がん診断が可能

ではより正確な診断ってどうすればいいの?そういった疑問が浮かびます。

他の検査は他にないのかと。一応あるにはあります。

一般では認知が低い検査ですが乳腺MRI検査です。マンモグラフィーだけでは診断は曖昧なことが多く、ある程度しこりが大きくなってから発見されることもしばしば。

発見をより早めるためには、より正確な乳がんの診断ができるMRI検査が有効です。

乳がんを疑ってMRI検査を行う場合には一般的に以下の場合です。

  • しこりを確認できるが、マンモグラフィーやエコーで良性かどうかの判断がつかない場合。
  • しこり等は触れないが、他の検査で乳がんの疑いが出た場合。
  • 非浸潤がんなどの乳がんの広がりを確認する場合。

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出典:http://medical-checkup.info/article/49714174.html

MRIは磁気共鳴によって乳房内の正常な細胞と癌細胞を比較することができます。

MRI乳がん検査は2種類

  • 最初から造影剤を使う

ひとつは、脂肪が強く画像に写らないように調整をはじめからしながら、造影剤で撮影する方法です。

  • 光速スピンエコー法をつかう

もう一つは光速スピンエコー法を使った撮影方法です。

光速スピンエコー法という撮影法で脂肪は白く、腫瘍は黒く写るT1強調像と脂肪は黒く写り、腫瘍は白く写るT2強調像を撮影します。その後にGd-DTPAという造影剤を多く使う撮影をし、最後に造影後のT1強調像を撮影するやり方です。

 

乳腺のMRI検査の場合は疑いのあるしこりが良性か悪性の診断に基本的に有効です。

ただ本当の意味での確定診断はやはり、マンモトーム生検(組織検査)が必要です。

MRIは乳腺の病巣が悪性かどうか、そして広がりはどうなっているのかを調べることが正確にできますので、便利な検査です。

乳腺MRIのデメリット

マンモグラフィーとくらべて曖昧ではない分、造影剤や、検査時間もマンモグラフィーの倍は掛かってしまいます。

造影剤を使うので、毎年頻繁に行う検査とは思いませんが、40歳を過ぎたら一回はやっても良い検査かもしれません。しかし手間なことが理由で通常の乳がん検診ではやりません。現状は確定診断中心に日本では使われています。

まとめ

  • 乳がん検診には見落としがある。
  • 高濃度乳房の人だと検査で判断がしにくい。
  • 乳腺MRIという検査が良性悪性の判断に効果的。
  • 最終的にはマンモトーム生検が必要。

もう少し手間がなく乳がんがあるかないかを、簡単に血液だけで診断ができる日はそれほど遠くないとは思います。早く普及していほしいものです。

乳がんはいずれにせよ、早期発見が鍵となるガンです。毎年の乳がん検診はかならずうけるようにましょう。