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新しい癌ウイルス療法の可能性!ジカウイルスを使って脳腫瘍を治す?

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いまジカウイルスを使った脳腫瘍の治療の実験が行われているとの情報がありました。

その実験によって非常に大きな可能性が生まれたということがわかったようなので少し調べてみました。

 今日はジカウイルスをつかってどのような脳腫瘍の実験が行われているのか?

そしてそれは実用的なものなのかについてもフォーカスしてみたいと思います。

 

 ジカウイルスで脳腫瘍を殺す新治療法が開発される?

まずジカウイルスを使った新し療法の前に、ジカウイルスとウイルス療法について知らない方のためにわかりやすく噛み砕いて説明します。

ジカウイルスとは

あなたはジカ熱をご存じですか?ジカ熱はジカウイルスが原因で妊婦が感染していしまうと、新生児が小頭症に罹ってしまう可能性が高まることで問題となっています。

 日本でも少し前に頻繁に報道がされていましたので、記憶に新しい人も多いと思います。

ウイルス療法とは

 ウイルス療法とは、癌細胞だけで増える性質のウイルスを改変してつくります。

そのウイルスを癌の腫瘍細胞(しゅようさいぼう)に感染させます。

腫瘍に感染したウイルスはどんどん癌細胞の内部で増えていき、癌細胞を殺していくという仕組みの療法です。

 これはウイルス自体が直接癌細胞を破壊することと、腫瘍細胞に対するワクチンの効果ももたらすという治療法です。

ウイルス療法の発見は古い

癌ウイルス療法は1950年代にたまたま癌と関係の無いウイルスに感染した患者やワクチンを摂取したあとの患者で癌の改善が見られたことに起因します。

現在でも様々な実験、治療法が試されています。

  そして今回、このジカウイルスが持っている増殖力のメカニズムに注目して、治療が最も難しいといわれる脳腫瘍の一つ膠芽腫(こうがしゅ)の治療に画期的な効果がある方法が研究されているそうです。

 

膠芽腫(こうがしゅ)とは

膠芽腫は脳腫瘍の一種です。

神経膠腫グリオーマ)の中でも最も悪性度の高い腫瘍とされています。

急速な腫瘍の増大スピードを持ち、進行が早いことから数週間単位で病状が悪化する場合もある極めて厄介な癌です。

膠芽腫は正常細胞との境目が曖昧で、放射線治療などでも対応できないことから、これまで治療法が相当困難な癌とされてきました。

 

ジカウイルスをつかった脳腫瘍の治療法を科学誌が掲載

9月5日付の科学雑誌のJournal of Experimental Medicineでジカウイルスがこの膠芽腫に対して、根治させる力があるという記事が掲載されました。

Journal of Experimental Medicineの記事はこちら

この研究はワシントン大学とカリフォルニア大学の共同研究だそうで、マウス実験によって膠芽腫をことごとく殺す実証実験に成功したそうです。

 

研究グループによる実験内容は、膠芽腫を発症したマウスの脳腫瘍の中に、ジカウイルスを直接注射で投与する方法です。

この注射を施したのち、2週間ほどで脳の悪性腫瘍が小さくなることが確認されたようです。

奏効率がどれくらいなのかはわかりませんが、このやり方での副作用は今のところ確認されていないようです。ただこれはまだマウスの段階ですので、人でやった場合はどうなのかは別問題ですので臨床を待ちたいです。

 この実験の成功は今後、悪性度の高い脳腫瘍の治療法に新たな光を見出すことになりそうです。まだマウス実験の段階ではありますが、18ヶ月以内に人での臨床実験に入る予定だそうです。

癌細胞にはある種、親玉的な存在の「癌幹細胞」があります。この幹細胞がなかなか破壊できないことで、癌が転移したり、癌が治りにくい要因の一つとなっています。

ジカウイルスは、膠芽腫の癌幹細胞を攻撃できるようです。それも今回、膠芽腫という非常に増殖のスピードの早い癌を選択的に攻撃したことに驚きがあります。

先日このブログでも取り上げた、近赤外光線免疫療法のように、こういった画期的なウイルス療法なども今後どんどん開発されていくかもしれません。

   まとめ

  • ジカウイルスを活用した脳腫瘍の治療法が有効と確認。(マウス実験)
  • 18ヶ月以内に臨床を開始。

 

癌はまだ解明されていないことばかりです。できるだけ今の患者さんたちに恩恵がある、負担の無い治療法が開発されることを切に願います。

話はズレますが、アメリカではAI(人工知能)を活用した治療法の開発が進められています。

人間では考えきれないあらゆる遺伝子や薬のパターンなどを人工知能が解析して提案していく時代に入っています。

おそらく将来的には人工知能がどんな薬を使うか、治療法や薬を当たり前に決める時代が来るのではないかと思います。

これについては次の機会に詳しくお話します。

そして、日本も少しはアメリカに習って、スピーディーに研究開発ができる環境や体制ができないものかと思います。

いつもアメリカに医療の分野では持っていかれている印象です。特に研究者が日本を見限って、アメリカに相当数の研究者がとられています。

それは日本の医療分野の開発環境が悪く、国の決定プロセスも良くないからだそうです。

 

他国で使われている薬の承認期間も日本はアメリカの4倍の遅さです。

 

前例の無いことに、責任を取りたくない役人体質の弊害とういことでしょうか。

まったくもって日本らしいです。。。病気と戦っている人の身になってもらいたい。